第4楽章 ー国会の議論からー
昭和39年3月26日の参議院文教員会の議事録があります。そこにある当時の灘尾弘吉文部大臣の答弁は、50年も前からこの議論があったのかと改めて感銘し、反面政治の緩やかさに驚きもしています。
灘尾文部大臣は、豊瀬委員の「幼児教育と義務教育の年限の関係、並びに現在、私立幼稚園に対する国としての直接助成をどう考えるか」とする質問に概ね次のように答弁しています。
○幼い時からしっかり育っていくことは議論のないところである。
○文部省としても幼稚園の整備充実は物的にも内容的にも必要と考え ている。 ○幼稚園を義務制にしたらとする意見もあるが、これはみだりに結論を
だすべきではない。義務制の前に幼稚園の普及を図るべきである。
○保育所も幼稚園も足りないのだから、ダブらないようにしながらそれ ぞれ拡充していかなければならない。
○保育所も幼稚園程度の教育をしてもらう必要があると考えている。
○幼稚園の教育については、この4月1日から始まった「指導要項」に 従って行って欲しいと考える。 |
灘尾弘吉文部大臣の似顔絵 (画・菅野孝雄) |
このような答弁を受けて豊瀬委員は「保育所は保育所、幼稚園は幼稚園の特色を発揮することは理解できるが、現在の行程と将来の設計をどう考えるか」と質問します。難尾文部大臣はこう答えます。
○幼稚園は4・5歳あたりを重点にやっていき、小学校の教育との間に
つなげるものとして考えていくべきではないかと考えている。
とても50年前の議論とは思えない、今の課題を見据えている質疑ではなかったかと私には思えてなりません。 |
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